「DVA(デベロッパー アソシエイト)は一発で受かったんだから、同じアソシエイトのSOAも勢いで行けるだろう」——そう高をくくって挑んだ私は、見事に跳ね返されました。AWS SOA-C03(CloudOps Engineer Associate)に、私は落ちています。スコアは609点。合格ラインは720なので、111点も足りませんでした。
合格体験記はたくさんありますが、「同じアソシエイトなのに、開発系は一発で受かって運用系で落ちた」という記録はあまり見かけません。だからこそ書いておきます。本記事は、DVAは越えられたのにSOAでつまずいた理由を、成績の中身まで含めて正直に振り返ったものです。これから運用系の資格を受ける人が、私と同じ落とし穴を避けるための材料になればと思います。
1. 「十分」がついたのは5分野中1つだけ。それも「開発の貯金」だった
まず前提として、AWSの試験のスコアは全体で1つ(私は609点)。合否もこの総合点で決まります。そのうえで結果レポートには、分野ごとに「十分(基準を満たした)」か「改善が必要」かのフィードバックが出ます。SOA-C03のそれを見て、私は正直ぞっとしました。5つの出題分野のうち、「十分」がついたのは1つだけ。残りは全部「改善が必要」だったのです。
- ① モニタリング・ログ・分析・修復・パフォーマンス最適化(22%) … ❌ 改善が必要
- ② 信頼性と事業継続性(22%) … ❌ 改善が必要
- ③ デプロイ・プロビジョニング・オートメーション(22%) … ✅ 唯一「十分」評価
- ④ セキュリティとコンプライアンス(16%) … ❌ 改善が必要
- ⑤ ネットワークとコンテンツ配信(18%) … ❌ 改善が必要
ここで一番大事なのは、唯一「十分」がついた③が「デプロイ・オートメーション」だったという事実です。これはまさに、DVA(開発者向け資格)で叩き込んだ領域とほぼ重なります。つまり私が唯一通用した1分野は、SOAの勉強で身についたものではなく、DVAで作った「開発の貯金」をそのまま使い回しただけでした。
逆に言えば、運用資格の本丸である「監視・信頼性・セキュリティ・ネットワーク」の4分野は、まるごと崩れた。これがSOA不合格の正体です。
2. 表向きの敗因:準備2週間は、運用資格には短すぎた
分かりやすい敗因はこれです。学習期間が約2週間しかありませんでした。SOA-C03は標準的には4〜8週間かけて準備する試験で、それを半分以下に圧縮した。当然、出題範囲を全部カバーしきれず、穴だらけのまま本番に突っ込んだ——表面的にはそう総括できます。
実は、社内のインセンティブ期限が絡む一発勝負で、どうしてもその日程で受けるしかない事情がありました。だから「時間が足りないのは分かっていたが、止まれなかった」というのが正直なところです。
ただ、振り返るほどに、「時間が足りなかった」だけでは説明しきれないと感じています。本当の敗因は、もう少し性質の悪いものでした。
3. 本当の敗因:詰め込んだのに「身についていない」感覚
2週間、それなりの量はこなしました。問題も解いた。なのに本番では、勉強したはずの内容が手元から滑り落ちていく感覚がありました。「やったはずなのに、身についていない」——この感覚が、ずっと付きまといました。
もう一つ、はっきり自覚していたことがあります。問題演習をしている最中、私は似たような間違いを何度も繰り返していました。一度間違えた論点を、形を変えて出されるとまた間違える。「あ、これ前にもやったやつだ」と気づくのに、正解は選べない。インプットが「分かったつもり」で止まっていて、使える知識として定着していなかったのです。
時間が足りなかったのは事実です。でもそれ以上に、限られた時間の使い方が「詰め込み」に偏り、「定着させる」工程が抜けていた。同じ間違いを繰り返している時点で、本番までに穴は塞がらない——今ならそう分かります。
4. なぜDVAは越えられて、SOAは越えられなかったのか
ここが、この記事で一番伝えたいことです。同じアソシエイトでも、DVA(開発)とSOA(運用)では、問われている「筋肉」が違いました。
DVAは「どう作るか・どうデプロイするか」を問う試験です。コードやデプロイの世界は、手を動かした実感とひも付きやすく、知識が定着しやすかった。だから一発で越えられた。
一方でSOAが問うのは、「動いているシステムを、どう監視し、どう壊さず守り、どう復旧させるか」という運用の世界です。CloudWatchのメトリクスとアラーム、バックアップとDR、運用面のセキュリティ、ネットワークの疎通——どれも、「一度読んで知っている」だけでは選択肢を選びきれない。実際に運用した手触りや、シナリオの中で判断を繰り返した経験が効いてくる領域です。
私が「改善が必要」とされた4分野は、まさにこの「運用の手触り」が必要な領域でした。そして私の勉強は、その手触りを作る前に「詰め込み」で止まっていた。だから知識が定着せず、同じ間違いを繰り返した。合否を分けたのは、地頭でも才能でもなく、運用資格に必要な勉強の「やり方」だったと思っています。
5. もう一度受けるなら、こう変える
同じ轍を踏まないために、次に運用系を受けるならこうします。これから受ける人にも、そのまま使えるはずです。
- 準備期間は最低4週間、できれば6〜8週間確保する。運用資格を2週間で詰め込むのは、私の結果が証明したとおり無理がある。
- 「間違いノート」で同じ間違いを止める。私の最大の敗因は反復する誤答だった。間違えた論点をその場でメモし、なぜ間違えたかを一言で言語化して、翌日もう一度解き直す。これだけで定着がまるで変わる。
- 手を動かして「運用の手触り」を作る。CloudWatchでアラームを実際に組む、バックアップから復元してみる——読むだけで終わらせない。運用資格は、ここが効く。
- 結果レポートの弱点分野から潰す。不合格でも、どの分野が弱いかは必ず分かる。全範囲を薄く何周もするより、弱点を狙い撃ちするほうが速い(これはSAAに一度落ちてから2回目で合格したときに、はっきり効果を実感した方法です)。
まとめ:落ちた経験は、ちゃんと次に効く
SOA-C03に落ちたあと、受験を急がせていた事情も一段落し、私はいったんこの資格から離れて、いまはSAP(ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)への挑戦に軸足を移しています。SOAは未合格のままで、きれいな逆転劇はありません。
それでも、この不合格は無駄ではありませんでした。「詰め込みでは運用の知識は定着しない」「同じ間違いを繰り返したまま本番に行ってはいけない」——この2つを、スコア609という痛みとセットで体に刻めたからです。資格の勉強と実務がどう地続きで、どこが別物なのかはオンプレ出身でAWSをキャッチアップした記事にも書きました。
もしあなたが今、運用系の資格でつまずいているなら——それはあなたの能力の問題ではなく、たぶん「勉強のやり方」の問題です。私の609点が、その軌道修正の材料になればうれしいです。一緒に「シフト」していきましょう。
※この609点を、他の資格のスコアと並べて比較した記事も書きました。AWS資格の難易度を実スコアで比較|CLF740・SAA698→743・DVA752・SOA609の全記録。「同じ人間が14日前のDVAでは752点だった」という対比から、分野別評価では合格までの距離が測れないことまで、5資格6回ぶんのスコアレポートで示しています。
※私自身がオンプレミス出身からクラウドインフラエンジニアへ転職した実体験はこちらにまとめています。運用でつまずいた時期も含めて、ここまでの道のりを書きました。